前回の「キャンパスネットワークの設定(2)」では、ASW1とDSW1間のリンク障害で回復するまでに約50秒かかっていました。今回はこの時間を短縮するUplinkFastの設定を行います。
通常のSTPだと、障害を検知してリスニング状態になり15秒、ラーニング状態になり15秒後の計30秒後にフォワーディングになります。(BPDU未着まで合わせると30秒+20秒で50秒)
UplinkFastを使うとこの30秒を瞬時に切り替えさせることができます。
■設定
Uplinkfastの設定はASWで行います。
[ASW1]
ASW1(config)#spanning-tree uplinkfast
この設定を行うことによりスパニングツリーの状態が変化します。
VLAN10 Spanning tree enabled protocol ieee uplinkfast enabled Root ID Priority 4096 Address c203.1724.0001 Cost 3019 Port 81 (FastEthernet2/0) Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID Priority 49152 Address c201.0d08.0001 Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Aging Time 300 Interface Designated Name Port ID Prio Cost Sts Cost Bridge ID Port ID -------------------- ------- ---- ----- --- ----- -------------------- ------- FastEthernet2/0 128.81 128 3019 FWD 0 4096 c203.1724.0001 128.81 FastEthernet2/1 128.82 128 3019 BLK 19 32768 c204.17f4.0001 128.82 FastEthernet2/10 128.91 128 3019 FWD 3019 49152 c201.0d08.0001 128.91
まずブリッジIDを構成するプライオリティがデフォルトの値から「49152」という大きい値になります。
パスコストも「3000」が足されます。これによりアクセススイッチがルートブリッジになることを防ぎ、ブロッキングポートをアクセススイッチ側に持ってきます。(前回の設定ではブロッキングポートはDSW側にありました。)
ではこの状態でDSW1とASW1間のリンクを断裂させてみます。
[ASW1]
ASW1(config)#int fastEthernet 2/0
ASW1(config-if)#shut
*Mar 1 00:39:50.751: STP: VLAN1 Fa2/0 -> blocking
*Mar 1 00:39:50.751: STP: VLAN1 new root port Fa2/1, cost 3038
*Mar 1 00:39:50.751: %SPANTREE_FAST-7-PORT_FWD_UPLINK: VLAN1 FastEthernet2/1 moved to Forwarding (UplinkFast).
期待通り即座に切り替わります。WindosXPから連続してサーバへPingを送っていても気づかないほどです。
ついでにWindowsXPが繋がっているF2/10も1台のホストしか接続されていないのでPortFastを設定しておきました。これによりポートに接続したときにリスニング、ラーニング状態をスキップさせることができます。
では、今回はここまでです。